獣医師 関まさひろの独り言

獣医師で著者の関まさひろが日ごろ頭の中で考えてることを独り言としてアップしていきます

野良猫の存在意義

野良猫が来た。

 

避妊手術のために捕獲されてきた。

 

捕獲ケージの中の隅っこで縮こまっている。

 

片隅には、お魚が入った器。

 

強烈な生臭さを辺りに漂わせている。

 

捕まった野良猫は、その匂いに誘われて食べにきたところを閉じ込められた。

 

そんな野良猫は、野外では生きていくために寝場所を探し、食料を確保して行動エリアを決めて生活している。

 

人間側の視点で考えると、庭を荒らされるとか、オシッコやうんちを所構わずされて困ることだらけ。

 

さらにさかりの時期には昼夜問わず大きな声で鳴きわめいている。

 

ケンカも激しい。

 

気づいたら、ちっちゃな赤ちゃん猫を引き連れて庭にいる。

 

ひどい親猫になると子猫を放置してどっかにいってしまう。

 

置いていかれた子猫だけがニイニイ鳴いている。

 

それを聞いた人間はほっとけない状態になる。保護施設に運び込んで面倒みてもらえるならいいが、ひどい場合は保健所に。

 

そのような状況を避けるために、野良猫を捕獲して子供を産まないように避妊手術をしに動物病院に運び込む。

 

病院側も社会貢献ということで、人間社会でのルールのため、さらに不幸な新しい命を減らすために、手術を行う。

 

これは、先ほど書いたように人間側視点での考えだ。

 

普通はここで、いいことをしたことになる。

 

では、猫側の視点ではどうだろうか。

 

猫は家族となってくれる人間がいれば、毎日安全な環境で年中温度も快適、毎日食べることには事欠かない。しかも栄養バランスも最高。健康管理もしてくれる。

 

しかし野良猫はどうか。

 

過酷な自然の中で生きていくのが必死だ。台風で荒れた天気で身を隠し、嵐が過ぎるまでは、食べることもできないかも知れない。

 

冬は雪の降る中少しでも温まれる場所を見つけてじっとしているしかない。

 

さかりが来て、オス猫を呼び寄せ繁殖することは、、動物としての種の保存本能。

 

人間も自然におこなっている生存本能の一部なのだ。

 

そう考えると、捕獲されて子供を産めなくされることは、その種の保存本能を人為的に奪われることなのだ。

 

人口が増えすぎて国が迷惑するから、これ以上増えないように、避妊手術を義務付けられたらどうだろうか。

 

人間はそんな猫の命をコントロールしようとしている。

 

そのような大きな力を持っているのだ。

 

捕獲された野良猫は、激しく抵抗する。

 

そりゃそうだ。

 

捕まえられて、恐怖でしかない大きな生き物に強制的に嫌なことをされるのだから。

 

必死に抵抗。暴れるし引っ掻くし、噛みつく。

 

人間だけがそのような他の生物の命をコントロールすることができる。

 

神から与えられた偉大な存在である人間は、神が創り上げた猫という動物の存在をコントロールしている。

 

私は、その背後にある動機が愛に起因していることが絶対条件だと思う。

 

野良猫もこの地球上で共に生きている生き物であり、進化の程度の差があるけれど、同じ進化の道半ばの存在。

 

野良猫を保護して怪我や病気の治療することは、愛に起因した動機である。

 

避妊手術も自分たちの家が荒らされるとかうるさいとかいう利己的な動機ではなく、むやみやたらに本能で産み落としまくった子猫が食べるものもなく、無意味に死んでいくことを心の底からかわいそうと思うのならまだマシかもしれない。

 

この地球は、人間が絶対的権力を握っている。

 

愛を持って全てのバランスを取るように心がけたいものだ。

 

この考えは一概に正しいとも言えないかもしれない。

 

色んな立場の意見があると思う。

 

それでも、私は信じたい。

 

人間の魂に刻まれた愛を。

 

地上の全ての生き物や鉱物がバランス良くそれぞれの存在意義を全うして一生を遂げることを願ってやまない。

 

 

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