獣医師 関まさひろの独り言

獣医師で著者の関まさひろが日ごろ頭の中で考えてることを独り言としてアップしていきます

身体検査

動物病院にペットが来院すると、まず受付で今日はどうしましたか?と訊ねられる。

 

そして病状の問診をされて診察室に呼ばれるまで待合室で待つことになる。

 

いざ診察室に呼ばれると、再確認のため

 

症状がいつから起きたか?

はじめはどんな様子だったか?

変化が見られるか?

食欲や元気はあるか?

症状や病変部が特定できるものか?

症状の程度は?

変わった出来事が家であったか?

 

などなど、獣医師によって病状に応じて細かく再確認される。これを稟告を取るという。

 

そしてそれが終わるとやっとペットの体に実際に触ってみていくことになる。

 

この身体検査であるが、

 

獣医師は、この身体検査が全ての基礎であることを知っている。

 

身体検査をすることである程度どこに問題があり、そのあと何をすべきかを決定できることを知っている。

 

これがプロの仕事。

 

しかも身体検査は、一貫して同じ手順で行われていく。

 

まずは触る前に全身の様子を見る。歩き方や被毛の具合、活力があるかなどをチェック。

 

次に体に触れていくが、まずはTPRをチェック。

 

TPRとは、

 

T: Temperatureで体温

P: Pulseで脈拍

R: Respirationで呼吸

 

この基本をチェックする。

 

そしてやっと体の検査だが、頭から始まり尻尾に向かって系統立てた順序と方法で検査していく。

 

頭部は、見た目に異常がないか?目は正常か?鼻から何か分泌物が出てないか?口や歯茎はどうか?

 

そして頸部に移行する。リンパ節が腫れてないか?出来物や傷がないか?

 

そして体幹部。皮膚病変や傷は?皮膚の張りはあるか?しこりがないか?触って痛がる場所がないか?お腹が膨れていないか?呼吸が荒くないか?リンパ節が腫れてないか?お腹を触診して腹腔内に異常がないか?そして背骨の触診で痛みがないか?なども行う。

 

そして聴診をしていく。心臓の音や呼吸の音は正常か?お腹の腸の動きの音は?

 

四肢も見ていく。びっこが主訴なら、各関節を動かしてみたり腫れがないかを見る。また指先や肉球の間に異常がないかを見る。

 

そして陰部を見て、腫れや変な分泌物が出てないか?

 

最後に尻尾を触診する。

 

このように一連の身体検査を常に一貫して行うことで、どこに問題がありそうかが推定できる。

 

そうしたら、病気の原因を特定するために、必要ならば血液検査、レントゲン検査、超音波検査を含めた色んな検査に進んで、原因を突き止める。

 

それでも特定できない場合、さらなる検査としてCT、MRIやその他の特殊検査を行うことになる。

 

つまり治療の前には、まず診断ありきであり、そのスタート地点で最も重要となるのが身体検査なのである。

 

このようなことを獣医師は日常の診察で行っており、その精度を高められるよう努力しているのである。

 

このようなことは、一般の飼い主さんはあまり知らないことかもしれない。

 

しかし、この流れを知っておくことで、いざペットが病気になった時に、獣医師に対して大きな協力ができることになり、結果としてペットの治療までの道筋が短縮できるのである。

 

できる限りの情報を獣医師に与えることと、日頃家でのペットの観察が重要な鍵になることが多いのである。

 

どうぞ皆さん、愛するペットにためにこのことを肝に銘じておいて下さい。

 

お願い申し上げます。

 

 

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